真空管ラジオ 5球スーパー製作記
はじめに  これは今回製作した5球スーパーの真空管が点灯している画像です。今はまず見られなくなった真空管の「灯」、オールド ファンには哀愁を感じさせられます。この「灯」が見たくなったことも製作のきっかけでした。  保存しておいた昔のラジオ・テレビに使われていた真空管が60本ほどあり、この中に5球スーパーに使われていた6BE6 ・6BD6・6AV6・6AR5・6X4があった。これを使って何とか5球スーパーが組み立てられないものかと言う思いの まま何年か、いや30年余を経た。今更、球だけあっても製作のための部品集めを思うと手が出せないでいたのである。  たまたまインターネットで「ラジオ少年」から組み立てキットが販売されていることを知って、早速取り寄せた。真空管だけ 要らないとも言えないので一式を注文した。3〜4日して郵パックで荷が届いた。  つぎの画像は梱包されていた部品類である。  この他にバーアンテナが含まれているが、画像にあるオプションのソレノイド・アンテナコイルを取り寄せたので写してない。  真空管は30年は経た昔のものとのことであったが、いろいろなメーカーであり、なるほど年代物の感がする。  ラジオの配線図を下記に紹介するが、真空管の電極記号など同封されていたものに書き加えをしてある。  朱書きの電圧は完成後の動作時電圧である。また、手元の真空管の中に6DA5があったので、製作途中で付加してみた。  つぎの画像は、5球スーパーに使われるオーソドックスな真空管5本である。今回のキットでは6BD6の代わりに6BA6が  使われている。なお、当時のラジオには整流管に5MK9(半波整流)、出力管に6AR5の使われたものもあった。また、電  源トランスを使わず、いわゆるトランスレスのラジオも出回っていた。  さて、製作についてであるが、先ずは部品を配置した様子が下図である。シャーシーには部品類の取り付け穴ができているので  取り付け作業はすぐにできる。なお、ビス類はしっかりと締めることが肝要である。  続いて、シャーシー裏の様子である。  いよいよ半田づけの配線作業である。最初の作業は真空管ソケットのピン、アースラインの卵型ラグなどの半田づけがされる端  子への半田上げである。面倒でもこれによって後からの半田づけ作業がスムーズになるのである。下の画像はこの作業が終わっ  たものである。  註)先ずはヒーター配線だけを済ませて、この時点で真空管のヒーター点灯確認を済ませるとよいかと思う。  つぎの画像は、配線作業が完了したシャーシー裏の画像である。配線はそれほどの難しさはないが、中継ラグ板の端子は1つぐ  らい余分にしおくとよいかと思う。また、発振コイルは多く巻き、調整で巻き戻す必要が生じたが、巻き戻すのではなく余分な  部分を短絡できるように終りの1〜2回分は絶縁皮膜を削っておくとよい。CR類は表示に従って用いれば難しさないが、電解コ  ンデンサーなどの極性には注意が要る。  完成したラジオの全体であるが、スピーカーはL金具でシャーシーに取り付けた。空いたスピーカーの外部への端子はアンテナ  の接続端子に利用した。  完成してからマジックアイの6DA6の取り付けを思いついたのでスピーカーが邪魔をしていて可笑しな位置となっている。ま  た、ソケットも浮かした状態になっている。 6DA5のマジックアイの様子である。  註)全部の配線が完了しても、電源を入れる前に配線の総点検が必要である。配線図をコピーしておき、実配線をたどりながら  配線図を赤サインペンなどでなぞっていくとよいかと思う。  間違いがなければ、いよいよ動作確認である。これも6X4、6AQ5、6VA6だけを挿して、低周波・出力回路から確かめ  るとよい。ボリュームを回して、スピーカーからブーンと言うような音が出れば先ずはOKである。  一度電源を切り、残りの真空管を挿して動作確認をする。バリコンを回して放送らしきものが聴こえれば先ずは受信ができてい  る。ローカルの放送が受からないようなら、発振コイルの調整が要る。 ※ 製作で戸惑ったことがら  @ IFTが2本ともL-401(配線図では、L-301とL-401)であった。(同一でよいとわかった)  A スピーカーの出力端子を指定の穴に取り付けようとしたが、端子にはネジ穴がなかった。(3mmビスをねじ込めばよい)  B ACコードの入口、ゴムキャップの取り付けに難儀した。  C 中継ラグは適当に切って使うのだが、ニッパーなどで切るとベーク板が欠けてしまうので要注意。金鋸などで丁寧に切る。  D 発振コイルはラフな自作でうまくいくのかと思ったが、何とか機能した。  E 動作テストでは、ローカルの受信がうまくいかず、発振コイルの調整が必要であった。 ◎ 感想     まさに、30数年ぶりの製作であった。久々の真空管の灯である。全ての真空管を手持ちのものに差し替えて、その音を聴い   た。眠っていた真空管が生き返ったのである。音量もある。直のダイヤルでチューニングは大変だが6DA5のマジックアイ  がそれをカバーしている。IFTの調整はまだであるが、夜間のJOHR、JOQRなども聴こえている。  バイロットランプも壊れたニミライトのLEDを使った。この後は、音質調整の回路でも付加しようかなと思っている。 ・余談  6DA5は9ピンなので、ソケットを電子部品の店で求めた。9ピンのソケットがほしい、と言うと店員が「真空管のですね、  どれがそれなのかわからないので、ここの中から探してください・・・」と、うーん、真空管は過去のもの。まあ、真空管の  ソケットと気づいてくれたのが幸いであったか・・。  そのついでに、少しばかりCR類を買い求めた。抵抗は家へ帰ってからでもテスターで調べられるが、コンデンサーはそうは  いかないので、表記されている記号から区別するようにメモしようとしたが、記号が見えないものがある。店員にそれを言う  と書かれていると言う。家に帰ってルーペで確認したら、なるほど微細な文字が見えた。昔のペーパーコンデンサーならこん  なことなかったのになあ・・・。  6DA5の接続ピンが分からないので、インターネットで調べたが、6E5ほど使われていないのか手間取った。真空管規格  表(オーム社?)を失くしてしまったのが悔やまれる。  以上 2006.2.22

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