中学校の理科の授業では種子の発芽条件は空気(酸素)があることと適当な水分があること、 そして適する温度が必要であると学びます。しかし、実際の種子の発芽はなかなか複雑です。 オナモミの種子の不思議で紹介したように発芽の時期がずれる仕組みもそうです。ハスの 種子は幾つもできますが、発芽の時期は年単位で異なるそうです。 種子は風に乗って飛んだり、動物に食されたり、動物にくっついて運ばれたりしてできる だけ広範囲に散るように様々な工夫がされています。しかし、ブタクサのようにたくさんの 種子(種に重みがあるので遠くに散らない)を自分の周囲に散らすだけのものもあります。 もし、この大量の種子が翌年発芽するとしたら立錐の余地のないブタクサ軍団になることで しょう。でもそんなことは起きません。発芽するのは冬の寒さに3ケ月間ほどさらされたも のだけなのです。残りのものは来年の冬または、いつの日か3ケ月間ほど寒気にさらされる のを待つしかないです。その間に土の中に深めに入ってしまえば掘り起こされないかぎり、 そのチャンスは来ないのです。これは一種の種子の休眠状態なのです。 この休眠状態はある意味で、種族保存のチャンスを待つことができる仕組みとも言えます。 自然のしくみの素晴らしさを感じます。 |