第1話 日本の数詞
    私たちはものを数えるときに「いち」「に」「さん」・・と言いますが、少しお年寄り

   の方ですと「ひい」「ふう」「みい」「よう」などとも言います。「いち」「に」「さん

   」の語源は中国語ですが、「ひい」「ふう」「みい」「よう」の言葉は日本古来の数え方

  (数詞)です。十までを「ひい」「ふう」「みい」「よう」「いつ」「むう」「なな」「

  やあ」「ここ」「とお」と言うことは、みなさんもよく知っていることだと思います。

   でも、最近はほとんど耳にすることがなくなりました。しかし、「ひとつ」「ふたつ」

 「みっつ」「よっつ」のことばや「ふたえ(二重)」「やえ(八重)」、「みっか(三日

   )」「よっか(四日)」など「ひい」「ふう」「みい」「よう」を語源とすることばがた

  くさん使われています。みなさんもさがしてみてはどうでしょうか。

   ところで、「ひい」「ふう」「みい」「よう」のことばには不思議な規則性が隠されて

  います。ローマ字で表記すると

    hii   huu   mii   you   itsu   muu   nana   yaa   koko   too  となりますが、

  ちょっと組み合わせたものを見てください。

  hii と huu 、 mii と muu 、 you と yaa のそれぞれのペアです。「ひい(hii)」の倍が

 「ふう(huu)」、「みい(mii)」の倍が「むう(muu)」そして「よう(you)」の倍が「やあ(yaa)」

  となっています。なにか、詩で使われる韻を踏むような感じがしませんか。何故このような

  仕組みになっているのかは知りませんが、こういう数え方は世界でも珍しいそうです。


第2話 信号機の色

   交通信号機に使われている色が赤、緑、黄であることは、だれでも知っていることです。

  では、なぜ赤、緑、黄なのでしょうか。いつから決められたものかは別にして、赤が危険

  を知らせる色としてなぜ使われるのでしょうか。赤色から連想されるものは何でしょうか。

  血液の色や燃え盛る火の色を連想する人が多いかと思います。赤色はヒトを興奮させます。

  大昔から人類は「火」を恐ろしいもの、そして大切なものとして見てきました。今もその

  気持ちは人類に共通です。だから、危険を知らせるのにふさわしい色なのです。

    と同時に赤外線に近い性質を持っているので遠くまで届く性質があります。見えにくい

  雨の日や霧の中でもよく届くのです。

    それでは、緑色にはどういいう意味があるのでしょう。ヒトは緑の木々や草花を目にす

  ると気持ちが落ち着きます。緑色はやすらぎを与えてくれる色なのです。遠くへ届く性質

  は落ちますが、ヒトの目は他の色より強く感じる性質を持っています。安全を示す色とし

  てふさわしいと言えます。

    しかし、信号機が緑色でも自分の目で安全を確認しなければならない昨今ですね。

    黄色ですが、赤色と緑色の光を混合すると黄色になることから黄色は両者の性質をもっ

  たものと言えるかと思います。

 ※一般的には信号機の三色を赤、青、黄と言います。青を緑としましたが、実際には青、

    青緑、緑と様々かと思います。


第3話 ヘチマの話
   小学校では理科の観察教材にヘチマを栽培します。ヘチマと言うちょっと変わった名前

  の由来を知っていると授業をたのしくできます。その昔、ヘチマはイトウリ(糸瓜)と呼

  ばれていました。勿論、糸瓜の意味はあの糸がからんだような構造からです。しかし、イ

  トウリと言う名前は発音してみると分かりますが、イの音が聞き取りにくいのです。その

  ためにいつの間にか「トウリ」と呼ばれるようになってしまいました。

   ところがここに洒落気のある人が現れ、「トウリ」の「ト」は、いろは五〇音の「へ」

  と「ち」の間にあることから「へちま」と呼びました。これが広まっていき、ついに今日

  のヘチマの名前が誕生したのだそうです。

   ついでに、この地方ではヘチマは食べませんが、沖縄では食用のものを栽培し野菜とし

  て使われています。


第4話 岩石の話(その1 安山岩 andesite)
   安山岩の「安山」は何を意味するものなのでしょうか。何となくどこかの山のようです

  ね。英語ではアンデサイト(andesite)と言います。このアンデサイトは南米のアンデス山

  脈で採れる岩石という意味があります。このように「安山」の名前はアンデス山に由来し

  ます。アンザンとアンデス、似ていませんか。アンデサイト、アンデス山脈で採れる岩石

  いうことから「安山岩」の名前が生まれました。



第5話 岩石の話(その2 花崗岩 granit)
   「崗」の字は教育漢字ではありませんが、石の町、愛知県岡崎市には花崗町(みかげ町)

  があります。さて、この岩石は英語でグラニット(granit)と言います。このグラニット

  ですが、実は私たちがコーヒーを飲むときに使う砂糖、グラニュー糖(元々の名前はグラ

  ニュレイテッド・シュガー granulated suger)がありますが、このグラニュレイトとグラ

  ニットとは同じ語源のことばなのです。グラニュー糖はザラザラしています。粒々の砂糖

  という意味なのです。花崗岩は成分が石英、長石、雲母で、しかもそれらの結晶が大きく

  そろってできています。英語のグラニットは粒々のそろった岩石という意味になります。

   さて、花崗岩の「花」と「崗」ですが、「花」は結晶が大きくそろって美しいことを意

  味し、「崗」は硬いことを表したものであります。


第6話 岩石の話(その3 玄武岩 basalt)
   玄武岩は真っ黒けの岩石です。名前の由来は兵庫県豊岡市赤石にある玄武洞からです。

  「玄武」は「白虎」「青龍」「朱雀」と同じ東西南北の四方に対する四神(しじん)のひ

  とつです。すなわち、東に「青龍」、西に「白虎」、南に「朱雀」そして北に「玄武」が

  配置されています。さらに、それぞれに架空の四獣がイメージされ、「玄武」は亀と蛇の

  合体した獣で黒色をしています。玄武洞の岩石は黒色で、六角板状の節理(岩の割れ方)

  であることから四神の玄武を連想して玄武洞と呼ばれたことがもとです。


第7話 化学式などに使われる数詞
   海岸の波消しブロックにテトラ・ポットと呼ばれる四本脚のものがあります。このテト

  ラは4を意味する語です。化学式などに使われる数字の1から10は順に、

   「モノ(mono)」「ジ(di)」「トリ(tri) 」「テトラ(tetra) 」「ペンタ(penta) 」

   「ヘキサ(hexa)」「ヘプタ(hepta) 」「オクト(octo)」「ノナ(nona)」「デカ(deca)」

  と言います。ついでに、多くを意味する場合は「ポリ(poly)」が使われます。

     よく耳にする?例を上げておきます。

  1(モノ)   モノレール(1本レールの軌道)
               モノコード(1本弦の理科器具)
               モノラル(ステレオ音響に対する単一音響)
               モノトーン(単色)
  2(ジ)     ジレンマ(進退両難、二者択一に悩むこと)
  3(トリ)    トリオ(三重奏、三重唱、三人組)
               トリプルプレー(野球の三重殺)
  4(テトラ)  テトラポッド(四足獣、4つ脚波消ブロック)
               テトラパック(学校給食などに出る正四面体の紙容器)
  5(ペンタ)  ペンタプリズム(5角プリズム)
               ペンタゴン(アメリカ国防省の5角形の建造物)
  6(ヘキサ)   ヘキサノン(小西六写真工業のカメラ)
  7(ヘプタ)   ヘプタスロン(陸上競技の女子七種競技)
  8(オクト)  オクトパス(蛸)
               オクターブ(八度音程)
               オクタボ(八つ折形)
  9(ノナ)    ノナゴン(nonagon:九角形)
  10(デカ)     デカスロン(陸上競技の十種競技)
  多数(ポリ) ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン(合成樹脂のひとつ)



第8話 虹の話

   虹の現象は空気中にある水滴(雨粒や霧)を透過する太陽光線が屈折率の違いからプリ

  ズムを通る光のように分散される現象です。虹は、太陽を背にして反対側に現れます。虹

  は弧を描きますが、外側からあか、だいだい、き、みどり、あお、あい、むらさきです。

  漢字では 赤、橙、黄、緑、青、藍、紫です。これを覚える方法としては、お経のように

 「せき、とう、おう、りょく、せい、らん、し」と唱えることです。

   なお、弧の内側にもうひとつ虹が現れることがあります。これを副虹と言います。水滴

  の中で2回の屈折をしてできる現象です。このときの色は順序が逆になります。


第9話 理科実験ケチケチの原理
   子どもたちは理科の実験が好きです。実験の準備をするとき、子どもたちは薬品などの

  試料を少しでもたくたんと欲張ります。しかし、欲張るとうまくいかないのが常です。例

  えば試験管に水溶液などをとらせると、ほとんどの子どもたちが多く(試験管に半分以上)

  入れていきます。そんなとき、そこへ試薬などを加えて攪拌のため振って混ぜますが、水

  溶液が多いとうまく混ざりません。振って攪拌するのには3分の1程度が適量なのです。

    やってご覧になれば明白です。水溶液と金属の反応などの実験でも水溶液が多過ぎると

  発生した気体の泡でこぼれたりします。とにかく、欲張り過ぎると失敗の元になります。

   そこで、「ケチケチの原理」を理科実験の基本として教えることが大切になります。


第10話 マッチの取り扱いについて
   最近の子どもたちは、家庭でマッチを使わないので中には怖がってしまう子もます。そ

  こで、その指導には時間を費やすことが必要です。火のついたマッチをそのまま持ってい

  て指を火傷した子どもがいました。火の危険性とともに正しいマッチの使い方を充分に指

  導したいものです。指導の要点は指導書などにありますので、ここでは、その他のことを

  メモします。

  その1 マッチ箱には必要以上にマッチを入れない

   昔のことですが、ある中学校で実験後にマッチのいたずらで雑巾を燃やされたことがあ

  りました。それ以来、マッチ箱には実験に必要な本数プラス1本しか入れないことにしま

  した。1本余分があれば、失敗してもなんとかなります。それでもダメなら1本余ってい

  る班に頭を下げてもらいに行きなさいと言っておきます。子どもたちの取り組みが真剣に

  なります。

  その2 燃えさしは消してから

   火を使ったあとは確実に消すこと、これは大切な基本です。そこで、燃えさしは消して

  から、ふたつに折って燃えさし入れの缶に捨てさせます。これは、確実に消したという証

  拠になります。

  その3 マッチの保管

   当然なことですが、マッチは準備室などの引出しにまとめて保管したいものです。理科

  室の実験机の上や引出しに無造作に置かれていることがありますが、使用後の管理は教師

  の責任であります。




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